ブログ~多様性の小径~


久しぶりのバングラデシュ 2010年8月(1)少女グループの登場

数年ぶりに、南アジアの最貧国、バングラデシュに行き、今週頭に帰国しました。

乗り継ぎで、行きには、タイのバンコクにも1泊したのですが、近代化は加速していました。
巨大看板には液晶テレビや高級車の宣伝が多く、高層ビルもたくさんできていました。

バングラデシュも、国際空港や周辺道路が新しくなり、びっくり。
来年2011年2月にクリケットの国際大会も開かれるとこともあり、インフラ整備が進んでいました。

今回の旅の目的は、旧知のいくつかのNGOにあいさつまわりに行くことと、
首都ダッカからガンジス河を渡り、車で5時間かかるジョソールという地方都市に行き、
知人の親戚宅にホームステイしながら農村生活を満喫することでした。

      

通常10日間でまわるルートを、5日間でこなしたのですが、いやー良かったです。
(8月31日の学会発表さえなければ、もっと居たかった。帰るのが惜しかったです。)

貧困を撲滅し、平和で持続可能な社会を築くために、この国では、いろいろなNGOが働いています。

数年前にノーベル平和賞を受賞したユヌス氏も、この国のグラミー銀行総裁で、
無担保で小農民に小規模事業の元手を貸す事(マイクロクレジット)を世界で初めて行った人です。

また今回、おもしろい国策として、ビニール袋の使用を禁止にしたこと。
ゴミとして土に還すことができない物質(ポリエチレン)は極力使わないようにするためです。
富める人も貧しい人も、エコバックならぬ、国産天然素材でもあるジュート(黄麻)の袋をもって、お買いもの。
ちょうどジュートの収穫期でもあったので、私も、農村部ではジュートの栽培・収穫と繊維を取る作業の写真を撮りまくりました。

また、この国の特徴として、人々の精神性が高いことです。

GDPやGNPは低くとも、農民でも中には詩や伝統音楽をたしなむ人が多くいます。
そして、みんな、知恵があり、おもてなしの心をもっています。

困っていれば、グラミーフォン(携帯電話)を貸してくれますし、
折悪しく、「ラマダン」という、年に1回の、イスラム教徒の方々は昼間は飲み食いしないという宗教的に特別な時期に行ってしまったのですが、外国人の私の食事の事はみんなが心配してくれます。

皆に見られて食事をするのは恥ずかしかったけれども、
おいしいか?もっと食べなさい!などとやいのやいのと、おもてなしをされました。
イリッシュマースという国魚のカレーは相変わらずおいしかったし、時期的に最後だったマンゴーも味わいました。

さて、子ども達の教育ですが、
公教育(学校教育)では、あいかわらず、暗記・暗誦が多く、先生の言ったことを反復練習する学習法が卓越したままでした。

反対に、NGO界では、新しい取り組みとして、少女グループの育成が始まっていました。
つまり、農村部でも貧困の解消が進むにつれ、子どもに教育を施すことがよしとされ、特に、これまでイスラム社会で取り残されて来た女性の教育にも光があたったのです。

その結果、女児も学校に行くようになり、また、女性の早婚はなくなる方向にものごとが進み、
農村部でも一部の女子は上級の学校に行くようになりました。
その結果、農村部では、女の子に「思春期」が登場したのです。

今までは、子どもの時期と結婚後の大人時期の2つしかなかった女性に、
思春期(11歳~18歳)というライフステージが生まれたのです。

でも、思春期をどのように過ごしていいのか、最初は暗中模索だったのだそうです。
親としては出歩いてほしくないし、反対に、ティーンエイジャーとしては、気持ちの面でも実際面でも行動力が余ってしまったのです。

そこで、地元NGOの登場です。少女グループを組織して、彼女達の、性教育や衛生教育を始めました。
出会い集うことで、少女グループのコミュニティができ、そのコミュニティがエンパワーメントされました。

村で病気で困っている人がいれば、行政サービスが受けられるように、村のチェアマンにかけあったり、
早婚させられそうな友達がいれば、みんなで彼女の親を説得したり。
また、性教育や早婚の悲劇をテーマにした劇(ワークショップで言えばロールプレイのアクティビティ)をつくるなどの自主的な活動が始まったグループもあるそうです。

人間の可能性って、無限ですね。なんだか、活力をもらって帰ってきました。

イヤー、まだ、1日目の事柄なのに、書き出すと止まらないですね。
続きは、日記には長すぎるので、今日はこのへんで。アバールデカホベ(また逢いましょう)。

(この文章は、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムのSNSに書かれた日記を載録したものです。)

大学での教育や共育ファシリテーターとして思ったことなど、日々の思索をつづっていきます。 価値の多様性を尊重し、さまざまな意見に出会いたいとも思っています。 お感じになったことは是非コメントをお寄せください。よろしくお願いします。

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