ブログ~多様性の小径~


久しぶりのバングラデシュ 2010年8月(2) ローカル・イニシアティブ

農村の少女グループが、なぜ、そんなに活発になったか?

  

このプログラムを行っているのは、日本の国際・NGO(特活)シャプラニール=市民による海外協力の会の、
現地でのパートナーNGO・PAPRI
(パプリ=花の意味。Poverty Alleviation through Participatory Rural Initiativesの頭文字。
参加型の農村イニシアチブを通じた貧困の撲滅)です。

ローカル・イニシアティブ、つまり、地元の人が率先してやる力を醸成していくのがこの団体の理念なのです。
お金やモノを援助するのではなく、地域の人々のやる気を出していく活動、
それによって人々が自力で貧困から抜け出すことを、団体の理念にしていると言っていいでしょう。

つまり、ワークショップでも同じだと考えますが、参加者が自ら自分が当事者だと思うことが大事なのです。
WSがどれだけ参加者の当事者性を引き出すか、WSのテーマをどれだけ参加者の「自分事」としていけるかが、肝心なのです。

ファシリテーターは、あくまで、介助・援助者です。
NGOは、思春期の少女達に寄り添いながら、彼女達のエネルギーを引き出して行く。
主人公は村人や少女達1人ひとりなのです。

久々にNGO活動の原点を思い出しました。ローカル・イニシアティブ。

そうそう、農村に入る前、最初の日の午後は、首都のスラム周辺で、ストリート・チルドレン(路上生活をする子ども達)の支援を行っている地元NGO団体(オポロジェヨ・バングラデシュ=バングラデシュの夜明けの意味)も訪問したのでした。

そこも10年かかって、ストリートチルドレンが、一時的に身を寄せるドロップ・インセンター(庇護所)の運営を、
子ども達の自主性を引き出すことで、成功させていました。

「このセンターは、団体のものではなく、子どもたちのものなんだと思ってくれることが大事だ。」と、
センター長の方は話してくれました。路上生活をする子ども達(利用者)が、そのまま、そこのセンターの運営に関わる。
子ども達で組織された、料理委員会、清掃委員会、銀行委員会、ピアサポート委員会があるそうです。

そして、10年前は、周辺地域の大人はみんなストリートチルドレンをジャケンに扱ったり、暴力で追い払ったりしていたのですが、
今では、センターに差し入れをしてくれるようにまで、変化したそうです。

路上生活を余儀なくされている子ども達は、地域の子ども、国の子どもとして、
地域の大人がみんなでめんどうを見ていかなくてはならないということに気がついたとも言えます。

ストリート・チルドレンを支援しているNGOの大事な3つの道具は、
愛情と、
モティベイションと、
カウンセリングだそうです。
どれも、(お金ではなく)人を資源とした大事な柱ですね。

だから、成功まで10年かかっています。息の長い活動に頭が下がります。
ワークショップを積み重ねながら、当事者性とイニシアティブを醸成していく。
ハードウエアではなく、ソフトウエアを創造していく。本当に地道な活動です。

でも、本当に可能性が見えた!!!。
7年前に訪問した時より、子ども達の表情が生き生きしていました!!!。

人を育てるのには最低10年かかるのです。
が、見方や感じ方によっては、気持ちの上でずいぶん助けられますね。

10年あれば、社会はかわるんですから。

(この文章は、青山学院大学ワークショップ育成プログラムのSNSに書かれたものを、載録したものです。)

 

 

大学での教育や共育ファシリテーターとして思ったことなど、日々の思索をつづっていきます。 価値の多様性を尊重し、さまざまな意見に出会いたいとも思っています。 お感じになったことは是非コメントをお寄せください。よろしくお願いします。

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